オフショア開発とは、海外の開発会社や子会社でIT開発を行ったり、業務を委託したりすることを指します。
現在では、日本企業の約半数が活用しており、委託先はアジア諸国を中心に拡大しています。
多くの企業がオフショア開発のメリットに注目していますが、導入を検討するなら現状やデメリットを把握しておくことが大切です。
そこで今回は、オフショア開発のメリットとデメリットを確認していきましょう。
オフショア開発
オフショア開発とは、システム・ソフトウエアなどのIT開発業務を、海外の企業や子会社に委託・発注することです。
主な開発拠点は中国・インド・ベトナム・インドネシアなど、人件費を抑えることができ、人材が豊富なIT大国に多いと言われています。
オフショア開発の目的は開発コストの削減ですが、近年では開発リソースの確保にも活用されているのです。
また、業務はシステムなどの開発以外に、ソフトウエアのテストやデータ入力、サポート業務など多岐にわたります。
他にも、AI・VR・IoTといった最新技術のシステム開発の委託も存在しています。
オフショア開発の現状
従来、海外進出は大手企業が中心でしたが、大企業との協業も含めて中小企業やベンチャー企業のオフショア開発が増えています。
政府は、2030年にはIT業界の人材不足が約79万人になると試算しています。
最近のオフショア開発はIT技術者不足を背景にしたリソース確保や、グローバルソーシングとしての意味合いが大きくなっているのです。
オフショア開発の委託先となる国は、IT技術レベルが高く、人材資源が豊富で優秀な技術者が数多く存在しています。
そのため、プロジェクトベースで柔軟に必要なリソースを供給できるなど、低コストで多岐にわたるIT開発を進めることが可能です。
このように、オフショア開発は課題やリスクを考慮して、必要な価値を提供できる体制が確立された開発企業が選択されています。
オフショア開発のメリット
オフショア開発の概要について、ご紹介させていただきました。
では、オフショア開発にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここからは、実際に代表的なメリットを見ていきましょう。
開発コストの削減
オフショア開発は、人件費が抑えられる海外に業務を委託することで、開発コストを削減できることがメリットです。
国内のシステム開発は、多くの技術者がチームを組んでプロジェクトを進めており、費用の約8割が人件費と言われています。
一方で、オフショア開発の企業は物価が安いアジア圏が多く、国によって違いはありますが、人件費を半減させることが可能なケースもあります。
このように、オフショア開発を活用すると、導入コストを差し引いても総合的なコストの削減につながるのです。
優秀な人材の確保
オフショア開発では海外の優秀な人材を確保できるため、日本のIT技術者不足を解消して、プロジェクトを進められます。
国内ではシステム開発の需要に対して、技術者の供給が追い付かない状況が続いているのです。
一方で、オフショア開発を委託する国の多くは、IT人材の育成を支援しているという特徴があります。
現地では高学歴者が技術者になり、他の職種より報酬が高いことも多いため、技術力だけでなくモチベーションも高い人材を揃えられます。
ラボ開発を選択しやすい
オフショア開発は人件費を抑えられるため、ラボ開発を選択しやすいというメリットもあります。
ラボ開発は、契約期間中に優秀なメンバーを確保することができ、仕様変更が発生しても柔軟な対応が可能です。
また、事業や業務の理解を深め、ノウハウを共有できる開発体制を構築することで、質の高い開発を実現しやすくなります。
ラボ型オフショア開発の活用は、人件費を抑えられるため、中長期な開発プランに最適です。
オフショア開発のデメリット
メリットが多いオフショア開発ですが、デメリットにも目を向ける必要があります。
ここからは、いくつかのデメリットをご紹介いたします。
日本との時差
オフショア開発は、アジア各国が主な拠点ですが、国によっては日本との時差があるため、対応に時間がかかるリスクを考慮しなければなりません。
インターネットが普及しているため連絡手段は豊富ですが、急な修正や問題発生時に連絡が取れず、対応の遅れが生じるリスクがあります。
特にシステム障害などの緊急時は、迅速な連絡や対応が難しくなると考えておきましょう。
言葉・文化の違い
言葉や文化の違いは、オフショア開発の課題のひとつです。
ミスコミュニケーションが発生すると、プロジェクトが失敗するケースも少なくありません。
日本語独特のニュアンスが伝わらないことや、考え方、習慣などの文化が違うため、意思疎通が上手くできず困ることもあります。
価値観やビジネスマナー、仕事に対する姿勢や意識の違いはトラブルにつながるため、事前に対策を考えておく必要があります。
進捗管理
物理的に距離が離れているため、品質や仕様、進捗管理が難しく、順調な報告を受けていても実際には問題が発生しているというケースがあります。
海外では、日本のように納期に間に合わせるために努力するといった習慣がないため、納期遅れや計画通りに進まないケースがあるのです。
納期が迫っていても延長を打診されるケースが少なくないため、こまめな進捗管理などがリスクを回避することにつながります。
まとめ
今回は、オフショア開発のメリットとデメリットをご紹介しました。
IT技術者の需要は増えていますが、供給が追いついていない現状では優秀なIT技術者の獲得が難しいため、コストも高くなりがちです。
オフショア開発は、コストを抑えて優秀な人材を確保できるため、多くの企業が活用しています。
導入を検討する際は事前に課題を把握して、個々に最適なオフショア開発企業を選択すると良いでしょう。