リテーナーにはさまざまな意味がありますが、皆様はリテーナー契約をご存知でしょうか。
リテーナー契約は多くのシーンで結ばれていますが、内容は業務の種類やサービスなど、個々の状況によって異なります。
そこで今回は、リテーナー契約について概要や注意点をご紹介いたします。
リテーナー契約とは
リテーナー契約とは、一定の期間で継続的な業務を行うコンサルタント契約を指します。
例えば、人材コンサルティング会社では、優れた人材を獲得するために導入されています。
近年では、PR会社が社内に広報活動の経験者がいない企業とリテーナー契約を結び、PRの業務を行うというケースも一般的です。
ほかにも、M&Aを成立させるためのアドバイザー業務に係るリテーナー契約などがあります。
リテーナー契約は、一定期間の調査や一定の業務に対する契約であり、その業務やサービスの成果に対して報酬などが決められます。
リテーナー契約のサービスとは
リテーナー契約には、具体的にどのような業務やサービスがあるのでしょうか。
ここからは、実際にいくつかの例をご紹介させていただきます。
人材コンサルティング会社
リテーナー契約についてご紹介する際は、人材コンサルティング会社のヘッドハンティングが分かりやすいでしょう。
この契約は米国で1946年に導入されてから、世界各国の人材業界において成果を上げているシステムです。
このシステムは企業の採用ニーズに適合する人材をサーチするもので、対象の選定から推薦、面接、内定までのフォローやケアを行います。
企業組織のトップからハイクラスのポジション、希少価値の高い業務に就いている人材をターゲットとして依頼することも可能です。
リテーナー契約のコストは、契約時一括支払い、コンサルティング料として分割均等支払いが一般的です。
また、着手金は契約が一定期間の人材サーチ活動を行うものか、採用成功を保証するものかによって、大きく異なるケースもあります。
人材コンサルティング会社では、中長期的な経営課題や戦略を共有して、企業が成長する最適な人材をサーチするサービスを行います。
PR会社
PR会社のリテーナー契約では、企業の総合的なPR・広報活動業務が行われています。
企業PRは、企業経営が順調に行われるように社会の動向をつかみ、社内外に適時適切に企業活動を伝えるという重要な役割があるのです。
そのため、PR会社は認知度の向上やブランディングを確立するだけでなく、社会と円滑な関係を構築するために、さまざまな手法で代行やサービスを提供しています。
例えば、パブリシティを主体としたマスメディアへの製品や販売促進、PRイベントやPR誌などの広報ツール制作、調査・分析やこれらを総合した業務など、内容は多岐にわたります。
企業は、目的や課題にあわせて多様化するさまざまなサービス内容から、最適なPR会社を選択する必要があるのです。
リテーナー契約では、毎月一定の固定費用を払い長期にわたりコンサルティングを行うケースや、プロジェクト毎に契約を結び単発で業務を請け負うスポット型があります。
M&A仲介業者
M&Aは専門性が高いため、仲介業者やM&Aアドバイザリー会社、弁護士といった専門家とリテーナー契約を結びます。
仲介業者などに支払う定額顧問料は、譲渡(売却)、譲受(買収)いずれの検討時も必要です。
業務では、譲渡側や譲受側の企業に関する現状分析と調査を基に立案し、具体的な候補先の調査と探索、訪問、面談などを行います。
費用は活動や人数によって異なりますが、一般的に月額固定で支払われます。
これは、M&Aが成立するまで数ヶ月~数年の間必要です。
そのため、成約までの期間が長いほど、損失も大きくなってしまうでしょう。
M&Aによる事業承継は国内市場が縮小する中、後継者不足の問題もあり注目を集めています。
最近は、実施件数の増加に伴いサービスを提供する仲介業者も増加し、成功報酬に至るまでの料金を無料にしているケースもあります。
M&Aのアドバイザリー契約は、個々の状況を認識した上で、報酬額も含めた最適な報酬体系を判断することが必要不可欠です。
リテーナー契約の注意点
ここでは、フリーランサーを例にリテーナー契約の注意点をご紹介いたします。
フリーランサーがリテーナー契約を結ぶ際は、最初に取り決めたスコープ内で仕事を収めることが大切です。
多くのフリーランサーはクライアントとの関係性を維持するために、範囲外の仕事を請け負うケースもあります。
例えば、業務の範囲について見積もり時と異なる範囲外の作業が発生しているような状況です。
これらは、通称「スコープクリープ(scope creep)」と呼ばれています。
事前に常識的で明確なプロジェクトの範囲を決定して、業務を進めることは難しいかもしれません。
しかし、リテーナー契約ではこのようなトラブルを避けるために、業務の範囲について事前に発注側と受注側が入念な打ち合わせを行うことが重要になるといえるでしょう。
まとめ
今回は、リテーナー契約について具体的な業務内容やサービスをご紹介しました。
業種によって業務は異なりますが、契約を締結すると一定期間の活動や成果に対して報酬が支払われる点は共通しています。
リテーナー契約では、専門性の高い人材が業務を行うため、効率良く成果を手に入れることが可能です。
契約を行う際は報酬に関する詳細や業務範囲について、各条項を入念に精査しておくことが重要になります。