デザインに活かしたいゲシュタルト原則②

ゲシュタルト原則というものをご存知でしょうか?ゲシュタルトの法則とも呼ばれているのですが、このゲシュタルト原則はデザインにも活かしていくことができます。というよりも、ゲシュタルト原則はデザインにこそ活かしていくべきなのです。ここでは、ゲシュタルト原則について詳しく触れていきたいと思います。    

ゲシュタルト原則とは?

  ゲシュタルト原則というのは、人間の脳が視界から入ってくるものを一定のまとまりとして認識することを指しています。森を見たときに「山に木が〇本生えている」という認識の仕方はせずに、「木がたくさん生えている」といった認識になるかと思います。これがまさにゲシュタルト原則なのです。 もともとゲシュタルト原則はドイツの心理学者であるヴェルトハイマー氏によって生み出されたゲシュタルト心理学におけるひとつの概念です。ゲシュタルト心理学では個ではなく、全体に着目します。だからこそ、ゲシュタルト原則も全体に目を向けるのです。 ちなみに、ゲシュタルト原則は「近接の法則(Law of Proximity)」「類同の法則(Law of Similarity)」「連続の法則(Law of Continuity)」「閉合の法則(Law of Closure)」「共通運命の法則(Law of Common Fate)」「面積の法則(Law of Area)」「対称性の法則(Law of Symmetry)」の7つの要因に分類されることが多いです。それぞれについて詳しく見ていきましょう。          

・近接の法則(Law of Proximity)

近接の法則というのは、近くにあるもの同士がまとまって見えるというものです。例えば、店内に同じデザインのイスが置いてあったとします。右側にはイス同士の間隔を狭めて置き、左側にはイス同士の間隔を広げて置いていたとしたらどうでしょうか?右側はグループ向けの席、左側はお一人様用の席といった認識になるかと思います。このように配置だけで、店内のデザインなども変えられるのです。    

・類同の法則(Law of Similarity)

類同の法則というのは、色や形が似ているものはまとまって見えるというものです。例えば、エレベーターのボタンを思い浮かべてみましょう。1階や2階という階を示すボタンは丸い形になっているのに対して、ドアの開け閉めのボタンは三角だったり、四角だったりすることがあります。また、階を示すボタンには色が使われていないのに、ドアの開け閉めをするボタンにだけ色が使われているといったこともあります。 当たり前になっている方も多いかもしれませんが、形や色の違いによってエレベーターのボタンというのはわかりやすくデザインされているのです。エレベーターのボタン以外にもリモコンなどさまざまなデザインに応用されています。    

・連続の法則(Law of Continuity)

連続の法則というのは、図形がつながって認識されやすいというものです。例えば、アルファベットの小文字の「x」というのは「>」「<」という風に右と左で分けて書く方も多いです。ただ、左右で分けて書いていたとしても実際に「x」というアルファベットを見たときには、それがひとつの図形のように見えます。これはロゴデザインなどにも応用できる法則と言えるでしょう。    

・閉合の法則(Law of Closure)

閉合の法則というのは、閉じ合っている形をしたものはひとつのグループとして認識されるというものです。例えば、「()」「【】」といった括弧は何の説明がなくとも、セットだと一目でわかります。これがまさに閉合の法則なのです。店舗や住まいなどの空間デザインはもちろん、仕事で使う資料なども閉合の法則を意識することによってわかりやすいものへと変わっていくでしょう。    

・共通運命の法則(Law of Common Fate)

共通運命の法則というのは、同じ方向に動いているものや同じ周期で点滅しているものをまとまったものとして認識してしまうというものです。例えば、アリが地面を歩いていたときに右側のほうへ一列に並んでいるものと左側のほうへ一列に並んでいるものがあったとします。このとき、右がひとつのグループ、左を別のもうひとつのグループと認識する方がほとんどでしょう。これがまさに共通運命の法則なのです。 先では近接の法則や類同の法則といったものにも触れましたが、共通運命の法則はこれらよりも強く働くと言われています。大きさや距離感に多少の違いがあったとしても、同じ動きをしているものは同じグループとして認識されやすいのです。標識や看板はもちろん、プレゼンテーションで使うパワーポイントなどのデザインでも活用できそうな法則です。    

・面積の法則(Law of Area)

面積の法則というのは、ふたつの図形が重なっているときに面積の小さいほうが図として、面積の大きいほうが背景として認識されるというものです。例えば、長方形の中に小さなハートマークがあったとしたらハートマークがメインの図で、それ以外の長方形の内側の部分はすべて背景のように感じられるでしょう。これがまさに面積の法則です。 この面積の法則も気づいていないだけで、本当にいろいろなところで活用されています。例えば、ホームページのトップページやブログのトップページなどには写真やイラストの上にロゴやテキストといったものを載せているかと思います。ロゴやテキストに目を向けてもらうために、面積の法則が活用されているのです。    

・対称性の法則(Law of Symmetry)

そして最後にご紹介するのが、対称性の法則です。対称性の法則というのは、左右対称な図形であればそれだけでセットとして認識されやすいというものです。この対称性の法則に関して有名なのが「ルビンの壺」と呼ばれるものです。向き合っている人の横顔に見えるという方もいれば、壺に見えるという方もいます。 対称性の法則もさまざまなデザインに使われています。「ルビンの壺」をそのままメインのデザインにしてしまっている商業施設もありますし、商品のパッケージデザインなどにも活用されることがあります。空間デザインから企業のロゴ、WEBサイトのデザインなどさまざまな分野で応用していくことができるでしょう。    

人の心理を刺激するようなデザインを

デザインに活かしたいゲシュタルト原則ということでお話してきましたが、基本的にデザインと人の心理には深い関係性があるのです。今の世の中にはすでにさまざまなデザインが生み出されているのですが、その中でも埋もれないような人の心理を刺激するデザインを考えていきたいところです。  

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