IT関連業界を中心に、オフショア開発という言葉を耳にする機会が増えました。

オフショア開発とは、ソフトウェアやアプリケーションの開発、保守業務を海外へ委託・発注する手法のことです。

近年ではアジア諸国を中心に、さまざまな地域でオフショア開発を活用する日本企業が増加しています。

インターネットの発展により、時間と場所を選ばずに仕事ができる時代になりました。

その結果、オフショア開発という手法による業務運営が可能になりました。

しかし、オフショア開発はうまく活用すれば大きなメリットを得られる一方で、失敗すれば大きなデメリットを生む危険性があるのです。

そこで、今回はオフショア開発に仕事を頼むメリットとデメリットについてご紹介させていただきます。

 

オフショア開発が注目されている理由

現代の日本ではネットの普及や業務のグローバル化などの要因により、IT技術者の需要が高い状態にあります。

しかし、少子高齢化による人口減少などが原因で、日本の多くの企業が人手不足という問題を抱えているのです。

結果として、技術や知識がある日本国外の労働力に注目するようになりました。

また、近年では東南アジアを中心に海外で優秀なIT人材が育成されていることも、オフショア開発が注目されている理由の1つです。

日本国外でニーズが高まっているけれど労働力がなく、海外には求めている労働力が多くいるという現象が起きています。

このような背景により、現在オフショア開発が注目されているのです。

 

オフショア開発に仕事を頼むメリット

オフショア開発は、うまく活用できれば多くの利益をもたらしてくれる手法です。

ここでは、オフショア開発の具体的なメリットについて、見ていきましょう。

 

コスト削減

前述のように、日本はIT人材が不足しているという問題を抱えています。

そのため、IT人材は非常にニーズがあり、人件費が高騰している状態なのです。

一方で、海外はIT人材が不足しているというわけではありません。

そのため、IT人材の人件費が高騰している日本と人材が豊富な海外では、後者の方が人件費を抑えることが可能です。

ソフトウェアやアプリケーション開発などのIT関連の業務では、人件費を抑えることができれば大幅な開発費用の節約が可能になります。

このようにオフショア開発によって、コスト削減が可能なのです。

 

優秀な人材を確保

優秀な人材を確保できるという点も、オフショア開発のメリットの1つです。

海外では、IT関連の仕事の報酬が高い国もあるため、職業として人気があります。

結果として、高学歴や能力が高い人ほどIT関連の勉強を行い、その業務に携わるようになる傾向にあるのです。

オフショア開発で業務委託の依頼を行う場合、このような優秀な人材に仕事を任せることが可能です。

日本では優秀な人材を確保するのに非常に手間と時間と費用が掛かります。

しかし、海外ではIT関連の仕事に優秀な人材が多くいるため、手間や時間、費用を多くかけずに人材を確保することができます。

 

オフショア開発に仕事を頼むデメリット

オフショア開発にはメリットがある一方で、デメリットもあります。

メリットばかりに注目していると、思わぬところで問題が発生してしまう可能性があります。

オフショア開発をうまく活用するためには、メリットだけではなくデメリットを知っていることも大切です。

ここでは、オフショア開発のデメリットについてご紹介させていただきます。

 

コミュニケーションを取りにくい

オフショア開発は委託先が海外であるため、言語によるコミュニケーションの問題が生じる可能性があります。

会話はもちろんのこと、仕様書や書類などの翻訳を行うことが求められるのです。

委託先に日本語に対応できるスタッフがいれば問題ありませんが、そのようなスタッフがいないケースは多くあります。

オフショア開発を活用する場合には、委託先に日本語が分かるスタッフがいること、もしくはこちら側に委託先の言語が分かるスタッフが必要になる点に注意しましょう。

また、言語だけではなく文化の違いにも要注意です。

日本と海外では価値観やビジネスマナー、仕事に対する考え方が大きく異なります。

例えば、納期が迫っている状況では日本では残業をしてでも納期に間に合わせようとする方は多いのですが、海外では必ずしもそのような姿勢であるわけではありません。

納期が迫っているのに委託先が全員帰宅している、休暇をとっているといったことも起こり得るのです。

これら以外にも、日本人が共通して持っている常識とは認識が異なるため、すべて説明しなければいけないなど、対日本人では通用するやり方がオフショア開発では通用しない場合があります。

そのため、日本と海外の言語や文化の違いによるコミュニケーションがとりにくいという問題に対して、対策が必要になるでしょう。

 

オフショア開発に伴う人員確保が必要になる

オフショア開発を委託する場合、プロジェクトに応じてプロジェクトを達成できる技術や知識をもつ複数人の人員確保が必要になります。

日本で社外のフリーランサーに業務を委託する場合、専用のサイトを利用することで比較的容易に人員の確保が可能です。

しかし、オフショア開発では専用のサイトが少ないため、人員確保が難しい状態です。

さらに、委託先の言語を学んでいなければ現地との交渉は難しいでしょう。

このような状態で人員確保を行うためには、言語を学び、人員を集めることができる優秀なスタッフが必要になります。

オフショア開発のノウハウがない企業では、その点において非常に苦労するものです。

このようにオフショア開発は人員を確保するための労力がかかるうえに、確保してからも調整が必要になるといったデメリットがあるため、把握しておきましょう。

 

まとめ

今回は、オフショア開発に仕事を頼むメリットとデメリットについて、ご紹介させていただきました。

IT業界を中心に、不足している人員をオフショア開発で補おうとする企業が増加しています。

オフショア開発によるメリットは大きいですが、デメリットの対策を講じなければ失敗してしまう可能性があるのです。

そのため、まずはオフショア開発のメリットとデメリットを知ることが大切です。

そのうえで、オフショア開発をうまく活用することをオススメします。