事業復活支援金の申請手順
1.はじめに
事業復活支援金とは、新型コロナウイルス感染症の影響によって、売上がある一定以上のダウンした中小企業や個人事業主に対して、最大250万円(個人事業主は最大50万円)支給される制度のことです。
事業復活支援金は、新型コロナウイルスの影響により、売上高が2021年11月~2022年3月のいずれかの月が、違う年の同月における売上高と比較して30%以上減少した事業者が対象となります。
要件を満たした事業者に限られますが、要件を満たしていれば、企業だけではなく、個人事業主にも支給されます。
例えば、2022年3月の売上高が200万円だった場合、2019年2月、2020年2月、2021年2月の「いずれか2月の売上高」が、30%以上減少していれば、受給対象になるということです。
持続化給付金では50%以上の売上高のダウンが条件でしたが、事業復活支援金は、売上高の売上高が30%以上のダウンで受給できることから、受給要件としては緩和されているといえます。
また、事業復活支援金では売上高が30%以上のダウンであることが要件となっていますが、さらに売上高の減少幅が30%以上50%未満の事業者と、50%以上の事業者では、支給される金額の上限が異なる点も特徴の1つです。
2.事業復活支援金の給付額
事業復活支援金は、以下の計算式で給付額を計算します。
給付額 =(基準期間の売上高)-(対象月の売上高)×5
なお、給付額の計算式で用いる基準期間とは以下の期間をいいます。
・2018年11月~2019年3月の5か月間
・2019年11月~2020年3月の5か月間
・2020年11月~2021年3月の5か月間
また、対象月とは2021年11月~2022年3月のいずれかの月から、最も売上が下がっている月のことをいい、その月を選びます。
その対象月と基準期間の同月が30%以上売上ダウンしているか確認します。
それでは、具体的に計算してみましょう。
例えば、2022年1月の売上高が100万円で、2019年1月を比較し、売上高が150万円あったとします。
この場合、売上が30%以上減少していることから、受給要件を満たしているといえます。
そのうえで、基準期間である2018年11月~2019年3月の5か月間の売上が600万円だったとすれば、
給付額=600万円―100万円×5万円=100万円となります。
ただし、受給額には上限額が設定されており、売上高のダウン率などによって上限額が異なります。
受給の上限額は、以下の通りにパターン分けされます。
上記のように、個人事業主に対する支給額の上限額が30万円~50万円なのに対し、法人に対する支給額は60万円~250万円となっており、法人のほうが多く設定されています。
3.事業復活支援金の申請の手順
事業復活支援金の申請手順は以下の通りです。
① 申請IDの登録
まずは、事業復活支援金の申請のためのIDの発行を行います。
IDの発行には中小企業庁のページから、仮登録を行うことから始めます。
仮登録が終わったら、登録したメールアドレスに本登録のためのメールが送られてきますので、記載されているURLをクリックし、本登録を行います。
本登録が完了したら、申請IDという事前確認用の英数字10文字のコードが自動で振られます。
このIDは非常に重要なので、必ずメモなどで控えるようにしましょう。
②事前確認
事前確認とは、事業復活支援金の申請要件を満たしているかどうかについて、第三者の登録機関から確認を受けるプロセスです。
なお、事前確認を行えるのは、中小企業庁から認可を受けた機関に限られます。
事前確認を受ける場合には、以下の書類を準備してください。
・本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)
・履歴事項全部証明書(申請から3か月以内に発行されたもの)
・確定申告書の控え(税務署の収受日付印押印済みのもの)
・帳簿書類(対象月までの売上が分かる書類)
・通帳(2018年11月以降の取引が記録された通帳)
・宣誓・同意書(法人の代表者又は個人事業者等本人が自署したもの)
③本申請
事前確認が終われば、事前確認通知番号というコードが振られるので、その番号を使って、本申請を行います。
事業復活支援金の申請に必要な書類は、ほとんどが事前確認で使用した書類と同様のものですが、注意点としては、売上を証明する帳簿書類が必要となります。
帳簿書類については、「対象月の売上が分かる書類」「基準期間5か月間の売上が分かる書類」が必要となります。
給付額 =(基準期間5か月間の売上高)-(対象月の売上高)×5で計算するため、当該期間の売上高など計算根拠とすることができる証明を添付すれば問題ありません。
その他必要な書類については、申請画面で一覧になっているので、確認しながら漏れの内容に添付をしましょう。
4.まとめ
事業復活支援金は、新型コロナウイルス感染症の影響によって、売上がダウンした方にとっては非常にありがたい制度となります。
休業を余儀なくされた方だけでなく、時短要請等で売上がダウンした方であっても給付要件を満たしていれば対象者となることができます。
そのためにも申請時に書類の不備があって、もらえなかったなどという事態に陥らないように、念入りに確認を行い申請するようにしましょう。
また、比較する売上をいつにするのかということも重要となります。
2022年1月を対象月にしたけど、2022年2月のほうが売上がダウンしているという場合、本当はもう少し多く支給してもらうことができたといったことにならないよう、どの月を対象月にして申請するかということもしっかりと見極めましょう。