企業では近年、働き方など様々な改革がなされているが必ずしもそのすべてが成功しているとは限らない。食品会社を例にとると、まず最優先されるのが衛生管理。そこに関わるすべての人が「清潔性」を保つ必要がある。
ルール設定しても、見えない所でそれを軽視されている場合も少なくない。それらを防ぐためには、何が必要か。起こりうるものを可能な限り想定、対策や解決策・を実践検証していく。
手洗いやマスクを全員で実施する等がそこに当たるだろう。何があるのか、その対策が無ければどんなリスクがあるのか、対策と実施でどれだけ防止できるか配置や手順などの細かい部分も重要になる。
それらの把握によって、かかるコストも計算し無駄があれば省ける。そういった、自社の「質を上げる」為にもピンポイントや特化ではなく全体を一つとして捉え、それぞれで常に改善・補完する姿勢が必要に思った。
しかし、実際は目先や一点に捉われやすい傾向があり、バランスが偏ったものが多いと言われている。最近になって「7S」と呼ばれる手法が取り入れられている。各部署で焦点を決めてカテゴリー化、全体関係で刷新を図るそうだ。
今回、それを深く見ていこうと思う。
7Sとは、アメリカのマッキンゼー社が提唱した組織マネジメント。改革と課題の発見及び解決を目的としている。経営要素として、次の7つがある。
・ 戦略(Strategy)
・ 組織(Structure)
・ システム(System)
・ スキル(Skill)
・ 人材(Staff)
・ スタイル(Style)
・ 価値観(Shared Value)
これらの連携により、総合的な組織マネジメント力を高める事が出来る。
それらを具体的に見ていく。
まず、上記の7つは「ハード3S」「ソフト4S」に二分化される。
ひとつ目の「戦略」。目標や目的を設定し、それらに対してどういったやり方が適切か、
また必要なもの等もこの時点で明確にする。ここでもカテゴリー分けがされ、方針などを決定づける「企業戦略」と実践の為の「事業戦略」のふたつのセクションで行われる。
次に、組織構造を示す「組織」。組織で働くうえで最も重要な位置づけになり、チームワークやタスク、リーダーは誰なのか等の役割分担をする。組織構造は大きく分けて、仕事の種類・目的ごとに組織を構成する「機能別組織」、独立した各事業部が意思決定権を持ち業務を実行する「事業部制組織」、特定のプロジェクト専門のチームを作り、各々のチームで独立して事業を動かす「プロジェクト組織」がある。
3つ目に「システム」。チームとしての規則規律、ルールを決めておく。それぞれが自由にすれば、それはチームの一員として機能している事にはならず質のいいものは作りにくい。個人の能力にも波が発生し、業績にも関わってくる。組織として動いていくためには、業務マニュアル、作業リスト、トークスクリプトなどといった業務に関する手順やルールを明文化し、経験の浅い従業員でも一定のレベルで業務を行える環境を作る必要がある。この3つがハード領域と言われている。
ここからソフト。その最初として「スキル」も見直しがされている。組織としての他社競争および優位性の検証をする。他社や社会に対し、自社の強みを追求する。競争優位性を持っていると独自のビジネスを展開できるため、競争が優位になるとともに
マーケットをリードする存在になることができる。例えば、アップルでは「iMac」「iPod」「iPhone」などに代表されるように既存製品とは一線を画す新しい製品を生み出し続けることで、競合他社との優位性を保っている。
人材の本当の能力を把握するには理解するところから始める。人材のスキルや知識は、会話などで容易に推測することができますが、本質は言葉ではなかなか説明しにくく他人が簡単に理解できるものではない。それを理解するために、全員が本音で話し合うなどそのための仕組み作りが必要になる。企業としての「スタイル」も大切になる。7Sにおけるスタイルとは、企業のカラーを意味する。例えば、「始業開始時間の30分前には出社しなければならない」「定時を過ぎたらタイムカードを切り退社しなければならない」など企業における暗黙の了解や不文律の積み重ねが、そのまま企業のカラーとなっている。
最後に7Sにおける価値観とは、いわゆるビジョンのことをいう。経営者が組織を立ち上げ事業を展開する際、組織を構成するメンバーが力を合わせて事業を進めていくためにはビジョンの共有が不可欠。例えば、Amazonでは「地球上で最も豊富な品揃え」を企業のビジョンとして設定。そのビジョンのもとサービスを作り、利益の最大化を図る。営利企業では一般的に利益を最大化するために行動しがちですが、行動の軸に据えるものは利益ではなくビジョンになる。
以上が7S、ハードおよびソフト3Sの概要とされる。
これらにはポイントがあり、すべてのカテゴリーで「なぜ」の視点を持つ事が大事とされている。何事も根拠を持つ事は本当に必要で、それが不明瞭であればほぼ確実に形にはならず、途中分解すると思う。また、他社や既製品と同じレベル、そして現状満足には進歩がないという考え方。収益アップや企業そのものの底上げの為、常に自分達の粗や不足点を追求、チーム内で誰が何を得意とするか専門領域があるか。それらが本当に最適なのかをプロジェクトチーム全体で把握し、お客様の目線で先駆けていく姿勢が重要。そこを目指しての検証や実践・および改善だと思った。
私個人としても、質を上げる為に日夜研究したり成し遂げる為の行動は素晴らしいと思う。根拠を明確にし、苦労しながら考えその上で改めるものやもっと良くなるものが分かるとも思う。何でもやってみて、初めて分かったり気付く事の方が多い気がする。こういったものは、いかに自ら興味をもち取り組むかが一番に思っている。