フランチャイズはすでに成功しているビジネスモデルのノウハウを提供してもらえるので、成功率が高い傾向にあります。ただ、だからといって本部のノウハウにおんぶにだっこというわけにはいきません。フランチャイズを成功させていくためには、やはり戦略が求められるのです。ここでは、フランチャイズにおける戦略についてお話していきたいと思います。
何のフランチャイズをするのか吟味するところから戦略は始まっている
1店舗から始めるフランチャイズ戦略ということなのですが、何のフランチャイズをするのか吟味するところからすでに戦略は始まっています。今のフランチャイズは本当に選り取り見取りなので、さまざまなアプローチで吟味をしていかなければいけません。
本部のトップに共感ができるのか、安定した業界なのか、これから成長が見込める業界なのか、商品やサービスに興味を持てるのか、加盟店の撤退率が低いのか……このようにいろいろな角度から絞り込んでいきます。「大手だから大丈夫」というザックリとした感覚で選ぶ方もいるのですが、それではいけません。1店舗から始めて、最終的には複数店舗の経営をおこなっていくというのがフランチャイズの醍醐味であり、理想でもありますので、長い目で見ていきましょう。むしろ、長い目で見ていかないと先々で自分が苦しむことになるのです。フランチャイズ選びも立派な戦略なのです。
特に重要なのが出店戦略
何のフランチャイズをするのか決めたら、次は出店戦略です。本部がサービスとして、出店戦略を考えて、出店場所まで用意してくれるという場合がほとんどなのですが、そこまでしてくれない本部もあります。その場合には、出店場所を自分で決めていかなければいけません。また、本部が用意してくれる場合でも本当にその場所で問題がないのかを自分で確かめる必要があります。中には、商品やサービスが魅力的であれば出店場所は関係ないと思っている方もいるかもしれません。確かに、山奥で営業している飲食店に長蛇の列ができるようなケースもあり
ますが、そういったケースはレアなのです。
通常、出店の際には商圏範囲を考え、その地域の人口や年齢層のデータ収集をしたり、競合他社の調査をおこなったりするものです。手間も時間もかかりますが、それだけどこに出店するかという部分が重要になってくるということでもあるのです。
自分の都合だけで出店場所を考えてしまうと、かなりの確率で失敗するでしょう。例えば、自宅に近いというだけでさびれた住宅街に飲食店をオープンしても集客は期待できないでしょう。自分の都合よりも、ユーザーや消費者のことを優先して出店場所を考えるべきなのです。
そこに出店をすることでユーザーや消費者のニーズを満たすことができるのか、出店を予定している場所にどれくらい競合になる店舗があるのかなどを考えていくようにしましょう。大手であっても中小であっても、大規模な店舗であっても小規模な店舗であっても、出店戦略は売り上げや利益に直結してくる部分なのです。
出店戦略の立てる際のポイント
出店戦略が重要であることについては十分におわかりいただけたかと思います。ただ、出店戦略として具体的にどのようなことをおこなっていけばいいのでしょうか?ここでは、出店戦略を立てる際のポイントについて触れていきましょう。
では、出店戦略をどのように立てればいいのでしょうか。
【ターゲットの明確化】
フランチャイズに限ったことではないのですが、ビジネスにおいてはターゲットを明確にしておくことが大切です。その商品やサービスのユーザーや消費者となり得るのは、どの層なのかということを考えていきましょう。
性別や年齢層だけではなく、そのターゲットがどのような生活を送っているのかというところまで考えていくと、どこに出店すればいいのか場所も絞り込んでいくことができるはずです。
【商圏を考える】
商圏というのは、店舗を日常的に利用するユーザーや消費者が生活している地理的な範囲のことを指します。フランチャイズの代名詞とも言えるコンビニの場合には、だいだい3000人が商圏範囲だと言われています。
出店場所から半径何キロ、場合によっては半径何メートルという単位で住んでいる人や通勤している人がどれくらいいるのか、その年齢層の分布はどうなっているのかなど分析していきます。
ちなみに、地域性についても考えておく必要があります。例えば、お年寄りの聖地になっているような場所に10代向けの店舗を構えても集客は期待できませんし、そもそも文化的に受け入れられないということもあるのです。
【ドミナント戦略】
ドミナント戦略というのは、「ドミナント出店」「エリア・ドミナンス戦略」「ドミナンス」などと呼ばれることもあります。チェーン店などが地域を絞って集中的に出店する経営戦略のことを指します。
普通に考えると、地域を絞って集中的に店舗を展開していくとお互いがつぶし合いになってしまいそうなものです。確かに、競争が激しくなる部分もあるのですが、同業者が多い地域に出店することによってその地域に多いユーザーや消費者を獲得することができるのです。相乗効果を狙った戦略と言えるでしょう。
【競合他社の分析】
競合他社に関する分析も戦略には欠かせません。出店数だけでなく、具体的な商品やサービス、価格帯、客層などもリサーチした上で、分析していきましょう。あえて同じ形でぶつけていくか、差別化を図るかという部分も見えてくるはずです。