最近、「デザイン思考」という言葉をよく見聞きするという方も多いのではないでしょうか?実際に、今デザイン思考というものが注目されていますし、これからの時代はデザイン思考が求められるようになります。これを機会にデザイン思考について理解を深めていきましょう。
そもそもデザイン思考とは?
そもそもデザイン思考とは一体どのようなものなのでしょうか?デザイン思考というのは、簡単に言ってしまうとデザイナーの感性やアプローチを通して課題や問題を解決していくという手法のことを指します。デザイナーなど直接的にデザインに関わる人にだけ役立つものと思われがちなのですが、実際にはデザインに限らずさまざまなところで活かしていくことができます。
デザインというのは世の中にたくさん溢れているものですが、すべてのデザインには何かしらの意味があります。洋服にしても家具にしてもパッケージにしても、デザイナーがさまざまなプロセスを経て生み出したものなのです。具体的に言うと、疑問を持ち、アイデアを探し、試行錯誤して形にするということを繰り返してデザインができあがっていきます。
こういったデザインを生み出す際のプロセスを課題や問題に応用することで、具体的な解決策を見出していくのがデザイン思考です。デザイン思考は、世界的に有名なアメリカのカリフォルニア州パロアルトに本拠を置くデザインコンサルタント会社IDEOの創設者、ティム・ブラウン氏によって発案されたと言われています。
実際に、このデザイン思考によってアップル社の初期のマウスや無印良品の壁掛け式CDプレーヤーなどが生み出されました。「あったらいいな」というものを具現化してくれるのが、デザイン思考であるとも言えるでしょう。
デザイン思考が求められる背景
これからはデザイン思考が求められるという話をしましたが、その背景についても知っておきましょう。デザイン思考が求められるようになったのは、ざっくり言ってしまうと時代が変わったからです。というのも、今と昔では人々の生活がガラリと変わっているのです。
例えばですが、ゲームの攻略本について考えてみましょう。ゲームの攻略本が昔と比べると売れなくなったという話を見聞きしたことのある方は多いかと思います。実際に本屋さんに行ってもゲームの攻略本というのはそう多くありませんし、陳列などを見ていても力を入れて売り出している印象はありません。
では、なぜゲームの攻略本が売れなくなってしまったのでしょうか?それはズバリ、インターネットの普及です。実際に今は何かわからないことがあれば、すぐにインターネットで調べるという方がほとんどでしょう。ゲームの攻略本をわざわざ買わずとも、インターネットでゲームの攻略法を見つけられる時代になってしまったのです。
家から出なくともインターネットさえ使えれば宅配で食事を済ませることもできますし、ショッピングも楽しめます。多くの方がある程度まで満たされるような時代になったのです。そのため、昔と同じようなアプローチでは新しい商品やサービスの魅力が伝わらなくなっているわけです。
おまけに、ある程度のニーズが満たされる中で商品やサービスの選択肢というのは膨大なものになっています。今は新しいというだけで飛びつくような現象が起こりにくくなっていますので、デザイン思考でユーザーや消費者に響くような商品やサービスを考えていく必要があるのです。何もしなくとも選ばれる時代から、選んでもらえるように努力しなければいけない時代に変わったとも言えるでしょう。
デザイン思考のメリットその1:働く人の思いを形にできる
デザイン思考のメリットはいろいろあります。その中でも第一に挙げられるのが、働く人の思いを形にできるという部分です。これまでは素晴らしいアイデアを持っていたとしても、雇用形態や部署などの問題でそのアイデアを主張することができないといったケースが多くありました。
ただ、デザイン思考であれば雇用形態や部署などに関係なく、働いている方であればその思いを形にしていくことができるのです。どのようなものであればユーザーに選んでもらえるのか、どのようなものであれば人のためになるのかといった部分がデザイン思考によって掘り起こされるのです。
デザイン思考のメリットその2:問いかける力が身につく
デザイン思考の発案者だとされているティム・ブラウン氏は、「デザイン思考の真骨頂は正しい問いを見つけること」だと唱えています。正しい問いを見つけることができなければ、ずっと同じところで悩み続けることになってしまいます。
デザイン思考ではユーザーや消費者が何を求めているのか、何を望んでいるのかという潜在的なニーズを掘り下げていくことになります。これは言ってしまえば、問いかけの連続です。デザイン思考によって問いかける力を身につけることによって、それがさまざまな課題や問題を解決させるときに役立ってくれるのです。
デザイン思考のメリットその3:相手の立場になって考える力が身につく
デザイン思考ではユーザーや消費者のニーズを調査し、その分析をおこなうためにユーザーや消費者を観察していきます。「これがいい!」と押し付けるのではなく、常に相手の立場になって考えることになります。シンプルなことですが、これはビジネスに限らずすべての人間関係で役立つスキルです。
相手の立場になって考えることによって、その相手に刺さる商品やサービスを生み出していくことができます。新しい商品やサービスを生み出していくときはもちろん、既存の商品やサービスをリニューアルするときにも役立つはずです。