デジタルトランスフォーメーション(DX)は、デジタル技術などの新しい技術や発想によって、根底から変える、あるいは覆されるような革新的なイノベーションを引き起こすものです。
AI、IoT、5Gなどのデジタルテクノロジーが、仕事や社会全体、人類全体にわたって影響をもたらしています。
これまでデジタル技術を使って情報の伝達、共有、意思決定に活用してきましたが、DXで創造や変化、変革により社会全体の進化が期待されています。
DXの定義と必要な組織能力
スウェーデンのエリック・ストルターマン教授が提唱した「進化を続けるテクノロジーが人々の生活をより良いものへ変革する」という概念がDXの定義とされています。
経済産業省がまとめた企業や基幹システムにおける定義から、社会全体または人類全体にもつながるコンセプトであるといえます。
DXを成功へ導くためには長期的な視点をもち、変化を察知して適切なリソースを割り当てる迅速な意思決定が必要です。
DXの定義
定義の認識は企業単位、基幹システム、社会全体において異なるので視点を変えながら取り組まねばなりません。
企業単位のDX
企業ではデジタルテクノロジーを推進し、内部および外部環境のデジタル化を好機と考え、企業戦略や組織能力の大きな変化に対応していくという意味があります。
企業におけるDXの定義とは、顧客などの要望をもとに、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに業務や組織、プロセスなどを変革し競争環境の維持や優位性を確立することです。
経済産業省のDX
経済産業省は2025年までに本格的にDXを展開し、競争力の維持と強化、会社の組織改革も含め、これまでのシステムを刷新することを推進しています。既存システムの老朽化、ベンダー依存の産業構築や改革に対する抵抗、デジタルテクノロジーなどに対する考え方などの問題を早急に解消しなければならないと指摘しています。
広範のDX
レガシーシステムなどをクリアし経済産業省のDXに着手すると、社会や経済の変革と発展につながる広範なテーマをもったコンセプトになると理解できます。
DXの概念を提唱した教授の情報技術や情報システムに関する研究から、テクノロジーを社会に活かすために適切に分析し、意思決定する必要があります。
DXに必要な組織能力
デジタルテクノロジーの急速な進化をただ傍観しているだけでは生き残れません。
企業競争力を維持するために、変化を察知し情報に基づく意思決定と迅速な実行力が必要です。
変化を察知し捉える
関連データや動向を収集し、外部環境や状況において大きな意味をもつ脅威や変化を察知します。(行動認識、状況認識)
早い意思決定
データを解析して検知し適切な人材を見極め、シームレスな協働体制を築き一貫して正しい決定をします。(開放的意思決定、拡張的意思決定)
迅速な実行力
古い体質の組織改革や経営意識、レガシーシステムの解決を迅速に実行し、規模の拡大を図ります。(動的リソース、動的プロセス)
DXとIT活用の違い
これまで企業はデジタル技術を使い、多方面でデジタル化した情報を活用してきました。
DXはデジタルの新しい技術や柔軟な発想などを具現化し、組織を根本から変え新しい事業モデルへと変革します。
既存ビジネスの組織変更やプロセスについても見直しや変革が必要になり、今まで見えなかった新たな価値を見つけることができるのです。
業務の変革を実現するために自動化や不要化、意思決定方法、指揮命令や組織運営などの改革は多岐にわたり、新規事業分野の進出などビジネスの変革期が来ています。
一方でITを活用することで、業務の効率化や企業だけでなく世の中全体が便利になりました。
作業の自動化や省力化、管理システムの可視化、情報伝達や共有など推し進め、電子メールなどや財務会計、販売会計システムなどを導入し、運用しています。
顧客や取引先においても、顧客との関係強化のために販売チャネルの拡張、品質や納期改善などを実現するためにCRM、Eコマース、SCMなどシステムの構築を行っています。
ITはビジネスに対し情報化することで維持や改善、拡張をしてきたのに対し、DXはビジネスなどの考えを根本から変え、変革させるという違いがあるのです。
まとめ
デジタルトランスフォーメーションはこれまでの企業のあり方を変えてしまうことです。
デジタルを通じてこれまでとは違う新しい時代に変わろうとしています。
DX化は会社を強化し時代を生き抜くために有効な方法です。
そのため、経営方針や組織形態まで見つめ直し変えていく必要があります。
効率化や向上を目的としたIT活用から、業務の変革であるデジタルトランスフォーメーションへ移り変わり、私たちの生活がさらに便利で過ごしやすくなるのは、そんなに遠くないのかも知れません。