人工知能デザイナーは誕生するか
2021年05月08日

人工知能と言う言葉が広く浸透していると思う。Appleでユーザーの操作をサポートするSiriを使った事がある人も多いだろう。LINEで自然な会話をするチャットモデル『りんな』その名前を聞いた事があるだろう。

 

 AIが人間と将棋対決をしたり、将棋のデータを分析してくれる。AIによる新薬の開発や胃カメラの画像診断を行っていると言う話もある。

市場で実用されている分野や実験段階の分野、AIの活躍度合にバラつきはあるが、確実なのはAIが私達の生活に根付こうとしている。

 

そして、AIが人間独自のものと考えられる想像力を使ったデザインの仕事に進出しつつある。実際に人工知能が描いた絵画がオークションにかけられ落札されたというニュースがある。またディープフェイクと言う本物のような偽物、芸能人の写真や動画まで作ってしまうような技術、単語を聞いた事があるかもしれない。

 人工知能は人間を超えたデザイナーになってしまうのかと考えてしまうかもしれない。はたまた職を奪われるのかと焦ってしまうかもしれない。

このコラムでは人工知能について少し専門的な解説をしながら、実際に人工知能デザイナーは誕生するのかを考えていきたいと思う。

 

 AI、人工知能と言う単語は1960年に誕生した。そしてブームと冬の時代を繰り返し迎えてきた。

最初に開発された人工知能はELIZA。

打ち込んだ文章を基に定型文を回答する、あたかもELIZAと喋っているかの様な体験をもたらしてはくれるが、人間のように考えて回答する事はできなかった。

映画に出てくる様なコミュニケーションが取れるロボットからほど遠く。研究者の間でも人工知能に対して実現できるか、懐疑的に見る研究者の方が多かった。それが人工知能の冬の時代である。

 

 

 

ただ技術は日進月歩しているもので、人工知能の研究者は新たな技術としてエキスパートシステムを開発した。

エキスパートシステムとは人工知能側に予め知識を教えるもので、実装された人工知能はMycinと言って細菌感染診断を行っていた。

システムとしてはある程度の成功はしていたが、人工知能、知能として考えた際に大きな問題が浮上した。

 

 一つ目は、入れなければいけない知識の量が膨大になると言う問題。これは人工知能が自ら知識を集められないから起こってしまう。

 二つ目はフレーム問題。人間なら簡単にできる事が、人工知能にはできない。

 例えば、フレーム問題を起こす人工知能搭載のロボットがいたとして、あなたはそのロボットにコンビニで焼肉弁当を買ってきてと頼んだとしよう。

ロボットは買い物に行こうとするのだが、温度、湿度、障害物、段差、フローリングの溝、ドアノブetc。考える必要のない事を考え続けて肝心の買い物をしてくれない状況が発生する。

 

あなたががコンビニで焼肉弁当を買う時に考えるとしたら、コンビニへ行く為の経路、値段、味とか評価だろうか。少なくとも、これから出ようとする部屋の温度や湿度を考え続けて、焼肉弁当を買うことができなかったなんて事はあまりない。

このフレーム問題により人工知能は冬の時代を迎えた。

少なくともここまでの人工知能だったら、何かをデザインするなんて到底できない。

 

 ただ2006年以降からの技術的な発展は目覚ましい。機械学習、ディープラーニングと言う聞いた事がある技術が登場する。

まずは機械学習について、コンピューターが自動で改善していく技術だ。

 

これには三つの手法がある。

 

 一つは教師有り学習。予めデータと正解を用意し、その正解を基に情報を認識し予測する。例えば猫を教えるとしよう。目をつぶっていたり、横を向いていても猫も猫だと認識する様になる。実際にgoogleがコンピューターに猫を認識できるようにした事がニュースになっている。

 二つ目は教師なし学習。データのみで正解は教えず、たくさんの情報から同じようなグループを見つけ出し、規則性を見つけ出させる。

 三つ目は強化学習。コンピューターに環境を与え、目的に報酬を設定し、その報酬を最大化を目指す。コンピューターと人間が囲碁で対決した話題がまさにそれである。

 

 この機械学習の発展形としてディープラーニングがある。聞き覚えのある方も多いと思う。ディープラーニングは人間の脳の仕組みを機械的に再現している。ざっくりしたデータだけで人工知能側が特徴や分類を学習していく。また人工知能に問題を作らせ、それを人工知能に解かせるなんて事も行っている。

 

ここまでは人工知能の仕組みや歴史だった。

さて、人工知能はデザイナーとして誕生できるのか。

実のところもうデザインで活動をしている。

ホームページの作成、ロゴデザイン、線画の着色、静画を動画にする。調べれば出てくるし、実際にサービスを利用できる。

人工知能のデザイナーならかかるコストは人間よりも安い。同じデザインの仕事を頼むなら人工知能にしてしまおう。

そうなると人間のデザイナーはもういらないのか。今のところ、そんな事はないと考えられる。

 

 

安全や実用を重んじる工業的なデザインでは、人工知能に大きな活躍を期待できる。

ただ人間の文化、そこから生まれる感情や価値観から生み出される芸術。この部分では難しい。人間には感情それに伴う価値観があり、そこから多様な物を創造してきた。現在の人工知能は感情を持っていない。その差である。

 

 例えば、あなたが人工知能に洋服のデザインをしてもらうとしよう。

人工知能は今までのデータの蓄積と分析に基づき、万人が喜びそうな、つまり汎用的なデザインとなる可能性が高い。

あなたが人間のデザイナーに洋服のデザインをしてもらったらどうだろうか。デザイナーはあなたに色々な質問をしてくるだろう。ただ、あなたの身に付けている物や仕草、雑談、些細な点から求めているデザインをしてくれるだろう。

 

 どのデザインを選ぶかはあなたである。あなたは人間だ。どちらに心が動かされるかである。人工知能は自分が作ったデザインをデータの一つとしていて、選ばれたら正解、選ばれなかったら不正解と判断する。

もし、選ぶあなたがなんとなくと言う。あいまいな理由だったら人工知能にそれは理解できない。何故なら人工知能に感情は無いからである。

 

人工知能のデザイナーは誕生する。ただ人間の感情が強く影響する分野では、どこまで活躍するかは未知数だ。

 

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