VRIO分析

VRIO分析、多くの人にとって聞いたことのない言葉でしょう。 VRIO分析は簡単に言うと会社の経営資源が使えるか、使えないか調べる方法です。 今回はそんなVRIO分析について説明していこうと思います。    

VRIO分析とは

VRIO分析とは、企業が持つ経営資源の独自の強みや弱みを分析するフレームワークの1種です。アメリカの経営学者であるジェイ・B・バーニー氏が発案し、経営戦略策定などに使用されています。 Value(経済的価値)、Rarity(希少性)、Imitability(模倣可能性)、Organization(組織)の4つの頭文字をとってVRIOと呼ばれています。基本的には、この4つに「はい」または「いいえ」で回答するとされています。より細かく把握するために5段階評価を用いる場合もあります。5段階評価の場合、改善する際のコストをおおよそで把握できるというメリットがあります。 自社の考えだけでなく、常に流動している市場や外部要因を鑑み、自社の経営資源を分析することで、客観的に価値のある経営資源を明らかにすることができ、資金や資源の投入を減らせる箇所をはっきりさせることができます。リスクマネジメントの実践において自社を取り巻く環境の理解は必ず必要で、その点においてVRIO分析の活用は有用と言えます。        

VRIO分析の要素

V:Value(経済的価値)

VRIO分析でまず初めに行うべきものがV:経済的価値です。経済的価値が最優先されるのは、経営資源の中に経済価値が存在しなければ、当然ビジネスとして成り立たないからです。経済的価値といっても、単純に金銭的なリソースのことではありません。人材や建築物、機器類などすべてのリソースが含まれます。すべて含めたうえでピンチを最小限に抑え込めるか、チャンスを最大限に生かせるかというポイントで考えます。もしこの時点で悪かったら競争力に欠けているということです。  

R:Rarity(希少性)

続いてR:希少性です。自社資源の希少性を図ります。希少性が高いということは、ライバル企業などが似た資源を持っていないということになり、競争が激しい市場環境の中でも有利にビジネスを進められるため、顧客から高い支持を獲得する結果につながります。 また商品やシステムの他に企業が抱えている人材にしても、極めて特殊な分野で、教育・育成に相当な時間を有するならば、希少性が高く競争上において優位に立っていると判断できます。ただ、現時点で特殊な分野で強みを発揮していても、教育・育成に時間を有さないのであれば、希少性は低く他の追随を許してしまいます。 この時点で止まってしまった場合は、価値はあるが希少性が低いため、他社との競争力が拮抗してしまっているということです。  

I:Imitability(模倣可能性)

希少性とも深く関連しているI:模倣可能性。模倣可能性は、競合他社が容易に模倣できるか否かという観点での評価です。当然ですが、誰でもすぐに模倣できるのであれば、一時的に優位に立っていたとしても、その状況を長続きさせることは困難です。 食品業界で例を考えてみると、あるメーカーが画期的なアイディアで今まで再現できなかった歯ごたえを実現したとします、一時的にその商品の売り上げが上がったとしても、ライバルメーカーが似た商品を割安で販売してきたら、あっという間に売り上げが下がってしまいます。食品業界は具材さえ同じものを用意すれば簡単に似た商品が作り出せるため模倣し合いになってしまいます。技術的な優位性があるならば特許申請によって法的に守れますが、商品そのものはすぐに模倣できるため焼け石に水といえます。 これまでに培ってきた企業の歴史的な背景も、模倣可能性に結びつきます。創業〇年のような看板は模倣することができないからです。 ここで止まった場合は、一時的な競争優位の状態で、いつ競争均衡に戻ってしまってもおかしくありません。  

O:Organization(組織性)

報酬体系や管理方法など、さまざまな仕組みや制度を含めて、経営資源を活用できる組織になっているか評価するのが、O:組織性です。ここまでのVRIの3つで、その企業が有している経営資源の経済的価値と希少性、模倣可能性は明確になっていますから、最後にそれらの経営資源を最大限活用できる組織になっているか判定します。 ここで止まった場合は、持続的な競争優位の状態です。希少性が高く、模倣されにくいので長きにわたって競争優位を確保しているが、組織的に活用できていないということです。VRIOの4項目すべて通過した場合は、希少性が高く、模倣されにくい持続的な競争優位であり、経営資源を最大に生かせている状態といえます。これで業績が悪いのならば、組織の在り方や運営方法に何らかの問題がある可能性があります。宝の持ち腐れ状態です。違う視点で見直しましょう。    

VRIO分析のメリットと注意点

VRIO分析をすると、経営資源という観点から自社の強いところと弱いところが見えてきます。自分の会社のどこに、どの様な競争優位性があるのかを明らかにし、どのような弱さを補い、強化するかについて理解できることが最大のメリットです。その企業に内在している競争優位性を明確化した上で、優位性を維持し、高めたりすることがVRIO分析を用いる目的です。 一覧表やフローチャート表を用いながら4つの評価項目を順番に評価していくため、現状を視覚的にもわかりやすく把握できます。一覧表は、より細かく分析することができますが、その分整理すべき情報も増えてしまうので、時間や手間がかかってしまいます。一方でフローチャート表は簡略化した工程で作業を進められますが、一覧表と比べると概要的な把握に留まってしまいます。 注意点は、より正確な分析を行うために判定項目を細かく設定することで時間と手間がかかることです。評価の中には刻々と変化しているものもあるので、時間をかけすぎるとギャップが生じてしまいます。また定義や要件の設定が分析結果にも大きく影響を及ぼすため、それらの設定に関しては慎重に取り組む必要があります。    

まとめ

VRIO分析をして自社の強み、弱みをはっきりさせることで他社より優位に立ったり、追いつくことができると思います。自社を客観的に見直したいと考えるなら、ぜひVRIO分析を活用してみてください。    

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