大企業が導入しているサステナビリティレポートってなに?

目次

大企業が導入しているサステナビリティレポートってなに?

 

1.はじめに

近年、企業では自社の活動を、株主や従業員、取引先などのステークホルダーや社会に伝えるために「サステナビリティレポート」という報告書を年に一度発行する企業が増えてきました。

このレポートは、投資家や企業評価機関が今後の見通しなどを評価する際の一つの指標として見られています。

 

そもそも、なぜ「サステナビリティレポート」が発行されるようになったのかということについては、社会が企業に対して「持続可能な成長(サステナビリティ)」のためには「ESG(Environment:環境・Social:社会・Governance:ガバナンス)」の3つの観点が重要であるとされるようになってきたためです。

 

2000年以前は、企業の成長は経済の成長とされる一方で、経済格差や環境問題というネガティブな問題が拡大するといった状況がうまれていました。

そういった状況を解消するために、ヨーロッパで「持続可能な成長(サステナビリティ)」という考え方が始まりました。

 

その流れで世界的にも、企業は社会や環境に配慮してこそ成長していけるという考え方が広まりました。

 

このようなことから、日本でも2000年代に入ると企業に社会的責任(CSR)が強く求められるようになり、2003年から、各企業がCSR部門を新設し、社会や環境に配慮した企業活動をどのように行っていくかなどの情報開示が活発化し、それらのことについて「CSRレポート」という名前で発行するようになりました。

 

こういったことから、2003年はCSR元年ともいわれています。

 

また現在は、持続可能な成長(サステナビリティ)やESGへの関心が高まってきたこともあり、企業は「サステナビリティレポート」と名前を変え、活動情報を開示するところが増えました。

 

2.サステナビリティレポートのポイント

サステナビリティレポートを作成するうえで、重要となるポイントは5つあります。

 

① ターゲット:誰に向けて作るのか

② 内容:どんな情報を報告するのか

③ 手法:評価情報をどのように収集するのか

④ スケジュール:準備期間はどのようなスケジュールにするのか

⑤ 振り返り:発行後の感想をヒアリングで確認する

 

以上の5つのポイントについて、それぞれ説明します。

 

① ターゲット:誰に向けて作るのか

CSR(社会的責任)レポートを作成する際は、より多くの方に読んでいただけるよう「マルチステークホルダー向け」に作成していましたが、サステナビリティレポートでは、そこまで多くの方に読んでいただく必要はありません。

 

ターゲットとするべきは、機関投資家やESGの専門家、そして取引先等のお客様であり、その方たちに求められている情報を届ける必要があります。

 

そのためにも、機関投資家が注目するポイントや、ESG評価機関が参考とする内容を分析し、それを開示していくことにフォーカスすることが重要です。

 

企業を経営することによって、サステナブル(持続可能な成長)な企業の実現を目指すために、企業の現状や将来性を投資家に開示するとともに、ESG評価機関に活動内容などを詳しく記載することが、レポートを作成するうえで重要なポイントと言えます。

 

② 内容:どんな情報を報告するのか

ESGには様々な評価項目があるが、ESG評価機関のみならず、国際社会におけるNGOや労働組合などによって評価項目が決定しています。

すなわち、決定した評価項目は、国際社会やステークホルダーが期待している項目であるともいえ、企業は常に最新の項目を把握し、対応することが重要となります。

 

しかし、ESGの評価項目は年々レベルアップしており、企業の今後の見通しとして短期的展望のみならず、長期的な展望などを盛り込むことも大切です。

 

また、レポートを読む投資家はESG評価機関の評価を投資判断のプロセスに組み込む方が増えていることもあることから、報告する情報が不十分とならないよう注意が必要です。

 

③ 手法:評価情報をどのように収集するのか

サステナビリティレポートを作成するにあたって、社内でどのような取り組み、どのような目的で行われているかなど詳しく把握する必要があります。

 

そのため、各部門によってレポートを発行する意味などをきっちりと理解していただき、重要度を理解したうえで適切な情報を提供してもらうことが大切です。

 

④ スケジュール:準備期間はどのようなスケジュールにするのか

レポートの発⾏時期に合わせて、社内で協力して作成することが大切です。

そのため、評価機関の評価実施時期にもスケジュールは左右されますが、レポートの作成を円滑に進めるために、普段から社内で情報共有や人間関係を構築しておくことが大切です。

 

そうすることで、確認内容や掲載内容の擦り合わせがスムーズにいかなかったりというトラブルを未然に防ぐことができます。

 

⑤ 振り返り:発行後の感想をヒアリングで確認する

サステナビリティレポートを発行し、株主やお客様など読んでいただいた方からの感想や評価を確認することも大切です。

 

また、レポートの制作を通して、サステナビリティに関する取り組みを明確にすることで、社内においても企業が向かっていく先などの将来イメージが見え、従業員のモチベーションアップにもつながります。

 

3.まとめ

企業が導入しているサステナビリティレポートは、とくに「ESG」の面について重要視されており、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の3つの観点を持つことが企業の成長に必要不可欠だという考え方が、近年社会全体に浸透するようになりました。

 

一昔前であれば財務情報だけで投資判断をしていた機関投資家も、企業の今後の動向を図るためにESGに配慮しているかどうかを見られるようになりました。

 

企業は社会全体に浸透しているサステナビリティの面で、ESGに配慮した企業活動を行うことで、長期的な成長を見込んでもらうことができます。

 

そのため、サステナビリティレポートは、企業ESGにどれぐらいの熱量で取り組んでいるかを判断する材料になります。

 

以上のことから、サステナビリティレポートの重要性は近年高まっており、レポートを作成する企業が増えてきています。

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